Dear-Abbadoのブログ

折々の雑感を綴っていきます。

音楽との衝撃的な出会い

9月のいま頃の季節は例年ならもっと蒸し暑いが、今年は急に秋が迫って来ている感じで、夜などは特に涼しい。蝉の声をしっかり聴く間もなく、秋の虫がすだくのを耳にするようになった。

秋の夜長に静かに耳傾ける音楽、さて何がいいだろう。ベタ過ぎるけど、ブラームス

ブラームスといえば、バレンボイムとシカゴ響による4番を最近Youtubeで聴いたけど、とても良かった。丁寧に、しっとりと、美しく練り上げられた響きが、見事に¨ドイツ風¨なブラームスを出現させていた。全集BOXをおそらく買うことになりそうだ。

秋はしんみりする。しんみりすると、音楽が心と体に沁み入る。秋は良い音楽がクリティカルヒットするのに理想的な季節だ。

色々な音楽と出会ってきた中で、まさにクリティカルヒット、衝撃的な出会いを果たしてしまった音楽というのが、誰にでもいくつかあるだろう。

僕の場合、それは3つ。「イパネマの娘」と「夜が明けたら」、そして「エレクトリック・カウンターポイント」だ。

イパネマの娘」は、中学生の頃にラジオで初めて聴いた。こんなに気持ちが良くて、脱力感いっぱいの音楽がこの世の中にあったんだと、ショックを受けた。

「夜が明けたら」は、浅川マキ氏のヒットソングだ。これも中学生のとき、TBSラジオ¨五木寛之の夜¨だったと思うが、耳にして驚天動地した。歌なのか呟きなのか判然としないカオスな歌声に引きずり込まれるままに、茫然自失した記憶がある。浅川マキ氏は、新宿のPit Innでライヴを聴きに行ったことがある。急に亡くなってしまい、とても残念だ。

「エレクトリック・カウンターポイント」は、スティーヴ・ライヒの大傑作。僕は大学生のときに出会った。クラシック音楽好きの後輩が持っていたディスクマンを借り、イヤホンを耳にして流れてきたのがこの曲だった。夜中、大学の裏門そばの緑が多い通りで、いままで聞いたことがない鮮烈な音響に触れた僕は、立ちすくんでしまった。「何これ!?」と、思わず叫んだのを覚えている。

この3曲はその後、繰り返し繰り返し聴いて、僕の体の奥深くにしっかりとしまい込まれた。

あれから色々な場所で、色々なタイミングで、新しい音楽を聴いてきたが、この3つを凌ぐような音楽との出会いはなかったように思う。この先も、もうないかも知れない。寂しいけれど。新しい音楽が衝撃そのものとしてぶつかってくる時というのは、人生の中で必ずあるものだと思う。