○バレンボイム/ベルリンシュターツカペレ
○ドホナーニ/クリーヴランド管弦楽団
○アーノンクール/ベルリンフィルハーモニー管弦楽団
シューマンの交響曲第四番で僕が良いと感じるのは、この三つの盤。
バレンボイム盤は恰幅がよく深々とした響きに安心して(?)身を任せていられる。ドホナーニ盤はこれ以上ないようなクリアな四番で、明瞭なリズムと整然としたアンサンブルがかえってこの曲の恐ろしさを抉り出す。アーノンクール盤はBPOの機能美と馬力が炸裂する、堂々たる名演。
シューマンが遺した四つの交響曲はいずれも人気が高いと思う(二番はマイナーだし、シューマンはそもそもオーケストレーションがどうのこうのという話もあるが)。
その中でも四番は、シューマンが抱えていた精神の闇というか不安定な魂の呻きが聴かれる曲で、繰り返し聴いているとこちらの精神も妙に揺らいでくる。
マーラーの七番も、あっちへ行ったりこっちへ行ったりして分裂症チックな展開が楽しいスペクタクル音絵巻だが、シューマンの四番も救いのありそうでない曲で、愛聴している。
番外編と言ったらいいのか、ガーディナー/オルケストル・レボリュショネール・エ・ロマンティークの演奏はピリオドアプローチで変わり種。オケの音がすかすかしていて、現代オーケストラの響きに慣れた耳には物足りないような、摩訶不思議な世界。