Dear-Abbadoのブログ

折々の雑感を綴っていきます。

外山滋比古の本

外山滋比古の本は面白い。これまでに僕は「自分の頭で考える」、「思考の整理学」と「お金の整理学」を読み、いま「惰性と思考」を読んでいるが、どの本にも新しい発見があり、読了が近づくたびに名残惜しささえ感じる。文章そのものも、簡潔でありながら表現豊かで、味読の喜びに浸ることができる。

なぜ面白いかといえば、やはり、外山氏が″自分の頭でよく考えて″書いているからだろう。どこかで読んだような、聞いたことがあるような話ではなく、よく考える人が練りに練った思考を開陳している本であれば、そこには思いもよらない知的冒険が待っている。

テレビにしてもスマホにしても、垂れ流される情報をただ受けているだけでは我々は思考力を奪われていく。読書も、頭を使うようでいて、場合によっては考える力にとっての弊害もある。

未知の話、新しい情報について読めば、頭の中にこれまでに無かった知識やロジックができ上がり、一つ賢くはなるけれど、それは空のコップに水を注ぐようなものに過ぎない。

コップの水を使って、鉢植えに水をやる、歯を磨くのに使う、起き抜けに飲む。そうやって、知識を活用して何かしたり、いままでにないロジックや知識を生み出すことが、″考える″ことであり、思考力だ。そう考える。