Dear-Abbadoのブログ

折々の雑感を綴っていきます。

ダッカへの旅 (4)

コムラプール駅はダッカの中央駅、とガイドブックなどには書かれている。しかし、中央駅とはいっても、大きめな駅舎があって人だかりがしているだけで、ショッピングモールがあるわけでもなく、観光案内所があるわけでもない。素朴そのものの駅だ。

コムラプール駅からしばらく移動したあたりで、腹ごしらえに¨ハティジール¨という店でビリヤニを食べ、リキシャをつかまえてブリゴンガ川の船着き場へと向かった。リキシャを下りると早速、ガイドとおぼしき男につかまり、案内されるがままに船頭付きの木の舟に乗って、水上からの眺めを堪能。対岸にある船の解体修理場も見学させてもらった。

余談だが、地元民はブリゴンガ川のことを¨ブリゴンガリヴェル¨と発音する。もちろん英語で言っているわけだが、ベンガル英語なので¨R¨の発音が巻き舌できついのだ。他にも、¨ヘアル(hair)¨や¨ナルヴァス(nervous)¨など、びっくりするようなベンガル発音に何度も遭遇した。

発音は独特で文法もおかしかったりするけれど、バングラデシュ人はけっこう積極的に英語を話す。その点、日本人とは対照的で、マレーシア人がよく英語を話すこともあわせて考えると、なぜ日本人には英語が苦手な人が多いのか、なかなか悩ましいものがあるような気がする。

オールドダッカには、素のままのバングラデシュ人の暮らしがあった。物売り、裏路地に佇む家族、腐臭を放つゴミの山、リキシャと人の群れ、絡み合った電線、煤けたアパート、物乞い、イスラムの礼拝所、路上で屠られた血まみれの牛、虫の群がるサトウキビのジューススタンド、外国人である僕に話しかけつきまとってくる子供そして大人。貧しいながらも何か圧倒的なエネルギーを感じさせるカオスが、そこには間違いなくあった。

旅程の後半には、ダッカ最大のモスク、バイトゥル・ムカロムやボンゴボンドゥ・スタジアムなどを見て回った。親切な大学生の家に招かれてお昼ご飯をごちそうになったり、日本にも行ったことがあるというムスリムのビジネスマンにコークを奢ってもらったりもした。最終日には、ボナニの街へ戻ってお土産を買い、ジェラートカフェなどに寄り、バスに揺られて一路空港へと向かった。

他にも、ここには書けないような体験や出来事が色々とあった。それもこれも、僕にとって一生のいい思い出になりそうだ。

バングラデシュは、膨れ上がる1億何千万もの人口を抱えて、これからどう変貌していくのだろうか。ひたすら静かで清潔で、隅々まで秩序だった日本に戻ってきてから、少し心配しながらぼんやりと考えている。