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Dear-Abbadoのブログ

折々の雑感を綴っていきます。

40分間あれば

昨年末、「バレンボイム音楽論」を読んだ。バレンボイムは13歳のときにスピノザの「エティカ」を読み、それ以来スピノザから大きな影響を受けているという。「バレンボイム音楽論」には、エティカから引用した記述があちこちにあるだけでなく、コンサートの合間にもエティカを読んでは思索を巡らせることがあるというくだりもあり、スピノザバレンボイムとの深いつながりを感じさせられる。

好きな音楽家が愛読する哲学書ということで、僕も読みたくなり、中公クラシックスから出ている「エティカ」を早速読み始めた。第一部「神について」を途中まで読み進めたばかりだか、なかなか難解だ。スピノザが説く神はいわゆる人格神ではない。スピノザにとって、神はその属性として延長を持つものであり、また自然は神のうちにある。そして、つまるところ、存在するものは神以外にないという。

今年はじっくりエティカを読もうと思う。

実家に帰省して、古い「レコード芸術」を引っ張り出していたら、ある号にバレンボイムのインタビューが載っていた。聞き手は、「バレンボイム音楽論」にも解説文を書いていた岡本稔氏。バレンボイムは世界中でコンサート(指揮とピアノ)をこなす傍ら、数々の録音をリリースしていて、現代のスター指揮者の中でも特に忙しい人種に入るそうだが、精力的な音楽活動について指摘されたバレンボイム氏、答えて曰く 、「私は普段こんなにインタビューを受けないものですから・・・。(インタビュー時間と同様)40分間あれば、シューマン交響曲を指揮することができる」。

そうか、40分あればシューマン交響曲を一曲振れる、そんな発想もあるのかと感心しつつも、多忙極まって、人生の切り売りみたいな生活を送っている(本人は楽しんでいる?)バレンボイムも実は大変なんじゃないかと同情してしまった。でも、いつの時代も、才能がある人はあちこちから声がかかる結果、必然的に忙しくなるもんです。

エティカを読みながら、バレンボイムを聴きながら、僕も、仕事も私生活においても精力的にこなしていこうと、年の始めにあたりぼんやりと考えた。