Dear-Abbadoのブログ

折々の雑感を綴っていきます。

アバドのこと

クラウディオ・アバドは私の大好きな指揮者だ。このブログの名前もアバドへの敬愛の念を込めて付けている。初めてアバドを見たのはNHKのクラシック番組でだったと思う。BPOの音楽監督就任後初来日のコンサートをNHKで中継していたのだ。プログラムは、アバドの十八番であるムソルグスキーの禿げ山の一夜(原典版)とチャイコフスキーの五番。私はテレビに本当にかじりつくようにして見た。何しろ天下のBPOと当代随一の指揮者アバドの演奏なのだ。アバドの指揮振りは流麗で伸びやかで熱がこもっていた。その後さまざまな指揮者のバトンテクニックを見てきたけれど、アバドのバトンテクニックは間違いなくベスト3に入る。少なくとも私はアバドの振りっぷりがとても好きだ。棒は無骨だけれど紡ぎ出す音楽は最高という指揮者もいいが、指揮姿も音楽も素晴らしい指揮者はさらにいい。私にとってアバドはそんな指揮者だ。読書家で謙虚、そしてイタリア共産党シンパ(笑)だったというアバド。2014年の年初に残念ながら亡くなってしまったけれど、遺してくれた膨大なディスコグラフィからこれからも数々の名演を聴いていこうと思う。

初めてアバドを聴こうという人に薦めたいのは、BPOと2001年に録音したマーラーの7番、84年~87年にかけて録音されたLSOとのラヴェル管弦楽曲・ピアノ協奏曲。ラヴェルクープランの墓とト長調のピアノコンチェルトが最高。冴えわたっていながら豊かなニュアンスに溢れる響きにいつしか切なくなってしまうほど。